付き合い始めた頃は、そのうち正社員になると思っていた。1年経っても変わらなかった。2年経っても変わらなかった。気づけば3年、4年と過ぎて、彼はまだ同じアルバイトを続けている。結婚の話をすると「考えてる」と言うが、何も動いていない。
その状況に、じわりとした不安と、言いにくい苛立ちと、好きだから続けているのか惰性で続けているのかわからなくなった感覚が混ざっている。
この記事は、フリーターの彼氏とずっと付き合っていて、結婚できるのかどうかわからなくなっている女性に向けて書いている。
フリーターとの結婚が現実的に難しい理由
難しいと言い切るには理由がある。
収入の不安定さが生活設計を難しくする
フリーターの収入は、シフトの入り方・契約の継続・体調によって変動する。安定した毎月の収入がないと、住宅ローンの審査が通りにくい。妻名義だけで組む選択肢はあるが、その場合のリスクはすべて妻側に集中する。
子どもが生まれて妻が育休を取るタイミングで、夫の収入が不安定という状態は家計として最も厳しい組み合わせの一つだ。育休中の生活費・出産費用・子どもの養育費。これらが重なる時期に、夫の収入が保証されていない状態は、精神的にも経済的にも消耗する。
年齢とともに正社員への転職が難しくなる
20代のフリーターと30代のフリーターでは、正社員への転職市場における状況がまったく違う。20代は未経験でも採用される求人が多いが、30代になると経験・スキルが問われる求人が増え、フリーターからの転職難易度が上がる。
ずっと待っているうちに、彼が転職できる可能性そのものが下がっていく。この現実は、待てば解決するという楽観論を崩す。
社会保険・年金の問題が将来に響く
勤務時間によって社会保険に入れないフリーターは、国民健康保険・国民年金を自己負担で払う必要がある。払えていない期間があると、将来の年金受給額が下がる。30代・40代でフリーターを続けた場合の老後の収入格差は、正社員と比べて数百万円規模になることがある。
ずっとフリーターのままでいる人の3つのパターン
同じフリーターでも、ずっとそのままでいる理由は人によって違う。パターンを見極めることが、この先の判断に直結する。
パターン1 変わりたいが動けない
正社員になりたいとは思っている。でも、何から始めればいいかわからない、自信がない、失敗が怖い。変わりたいという気持ちはあるが、行動に変換できていない状態だ。
このパターンは、外からの具体的なサポートや、変わるきっかけが機能することがある。ただし、きっかけを与えても動かない場合は、変わりたいという言葉が本心ではなく、あなたを引き止めるための言葉になっている可能性がある。
パターン2 現状に満足していて変わる気がない
今の生活で困っていない、自由な時間がある、プレッシャーが少ない。フリーターという状態に不満がなく、変わる必要性を感じていない。
このパターンに正社員になってほしいと伝えても、相手の中に動機がないため機能しにくい。外から変えようとするほど、逆効果になることがある。
パターン3 夢や目標を追っている
音楽・アート・スポーツ・起業準備など、フリーターとして生計を立てながら別の目標を追っている。この場合、フリーターは目的ではなく手段だ。
ただし、何年も経っても目標に向けた具体的な進展が見られない場合は、目標という言葉が現状維持の言い訳になっている可能性がある。夢を追うことと、現実から逃げることの区別は、行動量が示す。
フリーター彼氏とずっと付き合った人のその後
5年待って別れたJKLさん(34歳)のケース
付き合い始めた22歳のとき、彼はバンド活動をしながらコンビニでアルバイトをしていた。いつかメジャーデビューすると言い、JKLさんも信じていた。
27歳で結婚の話が出た。彼は「もう少し待って」と言った。29歳でまた同じ話をした。同じ言葉が返ってきた。31歳のとき、JKLさんは初めて真剣に別れを考え始めた。バンド活動は続いていたが、収入は上がっていなかった。ライブの頻度も減っていた。
「好きだったから待った。でも、何年待っても同じ言葉しか返ってこなかった。変わる気があるなら、5年のうちに何か変わっていたはずだ」と34歳のJKLさんは言う。別れを選んだのは、付き合ってから5年目だった。現在、別の人と交際している。
期限を決めて動いたMNOさん(30歳)のケース
3年付き合ったフリーターの彼に、28歳のとき正直に伝えた。「30歳までに正社員への転職活動を始めなければ、別れることを考える」という形で。感情的ではなく、自分の人生の設計として話した。
彼の反応は、MNOさんが予想していたより真剣だった。初めて現実として受け取ったという表情だったと言う。その後、彼は転職エージェントに登録し、半年後に正社員として採用が決まった。
「期限を伝えることは冷たいと思っていた。でも、言わなければ彼は動かなかったと思う。彼が動けたのは、本人の力だけど、現実を突きつけたことがきっかけになった」とMNOさんは言う。現在も交際が続いており、結婚を視野に入れている。
待ち続けて自分が消耗したPQRさん(35歳)のケース
彼のフリーター状態は付き合い始めから7年間続いた。その間、PQRさんは正社員として昇進し、収入が上がっていった。彼はコンビニのアルバイトのまま、年齢だけが重なった。
変わると言い続けた7年間で、彼が転職活動をしたのは一度だけ、それも3社に応募して全社断られた後にやめた。PQRさんが別れを選んだのは35歳のとき、妊娠を考えるタイミングになって初めて現実が見えてきたからだった。
「好きだったのは本当。でも、好きであることと、一緒に老いていけることは別の話だった。それを7年かけて学んだ」とPQRさんは言う。30代後半から新しい恋愛を始めることへの不安と、7年間を待ち続けた後悔が、今も混在していると話す。
結婚を決める前に確認すべき5つのこと
感情だけで結論を出す前に、事実として確認できることがある。
1. 正社員になろうとした具体的な行動が過去にあるか
転職サイトに登録した、エージェントに相談した、資格の勉強を始めた。言葉ではなく行動の記録があるかどうかを確認する。一度も行動したことがないなら、変わりたいという言葉に根拠がない。
2. フリーターを続けている理由を正直に話せるか
なぜ今の状態が続いているのかを聞いたとき、正直に話せるかどうかを見る。曖昧にする、怒る、話を変えようとするなら、自分でも向き合えていない可能性がある。理由が話せる人は、問題を認識している。認識している人だけが、動ける。
3. 期限を設けたとき、反応が変わるか
「〇歳までに転職活動を始めなければ別れることを考える」という形で期限を伝えたとき、相手がどう動くかを見る。真剣に受け取って動き始めるなら、現実として認識した証拠だ。怒る、無視する、「そんなこと言わなくていい」と流すなら、現実から逃げている。
4. 家計のシミュレーションを一緒にできるか
結婚後の生活費・子どもの費用・老後の準備。これらを数字として一緒に考えようとするかどうかを見る。できない、やりたくないという反応が続くなら、将来の現実から目を背けている。
5. あなた自身が何年まで待てるかを知っているか
彼の変化を待つことに、あなたには期限があるはずだ。妊娠・出産を考えるなら、年齢的な現実がある。その期限を自分の中で正直に持っているかどうかが、いつまでも曖昧な関係を続けないための最低限の基準になる。
