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低収入だから結婚を諦めたのは本当に正しかったのか

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諦めた、という言葉は静かだ。怒りでも悲しみでもなく、ただ静かに「自分には無理だ」と結論を出して、それ以上考えるのをやめた。低収入だから結婚できない、相手に苦労をかける、自分のような人間が家族を持つべきではない。そういう言葉が積み重なって、いつの間にか結婚という選択肢が視野から消えている。

この記事は、低収入を理由に結婚を諦めた人、あるいは諦めかけている人に向けて書いている。諦めることを否定するわけでも、無理に背中を押すわけでもない。その判断が本当に自分が望んだものかどうかを、一度だけ正直に見てほしい。


目次

低収入で結婚を諦める人が増えている、その社会的な背景

日本では未婚率が上昇し続けており、その背景の一つとして経済的な理由が挙げられることが多い。国立社会保障・人口問題研究所の調査では、結婚を希望しながらも経済的な理由でできないと感じている人の割合が、特に男性で高い傾向がある。

非正規雇用の増加・賃金の停滞・物価の上昇が重なり、結婚や子育てに必要な経済的な基盤を作ることへのハードルが上がっている。結婚式・新居・出産・育児。これらにかかるコストの感覚と、実際の収入とのギャップが大きくなるほど、諦めという選択が現実的に見えてくる。

ただ一つ確認しておきたいのは、低収入で結婚できないという感覚が、事実なのか、思い込みなのかという問いだ。実際に試みて断られたのか、それとも試みる前から無理だと判断したのか。その違いは、諦めの質を大きく変える。


低収入で結婚を諦めた人たちが、後から感じること

諦めた人の話を聞くと、感情はいくつかのパターンに分かれる。

諦めてよかったと感じている人がいる。経済的な余裕がない状態で結婚することへのリスクを正確に見積もり、相手に苦労をかけたくないという判断から諦めた場合、その選択に後悔がないケースがある。ただしこのケースでも、孤独感や将来への不安が全くないというわけではないことが多い。

諦めたことへの後悔が出てきた人がいる。30代・40代になって、諦めた理由だった収入が改善したとき、あのとき動いていればという感覚が来ることがある。収入が上がっても、動く機会を逃したという感覚は、経済的な問題とは別のところに残る。

諦めたつもりが、諦めきれていない人がいる。結婚を諦めたと言いながら、誰かと一緒にいたいという感覚が消えていない。その感覚を持ちながら諦めという結論を持ち続けることは、慢性的な矛盾として精神的な消耗を生む。


実録:諦めた人・諦めなかった人のその後

諦めたことを後悔したSTUVさん(38歳)のケース

20代後半、手取り17万円のアルバイト生活だった。好きな人がいたが、こんな自分が結婚を考えるのはおこがましいと思い、関係を深めることをしなかった。その人は別の男性と結婚した。

30代前半に転職し、収入は大幅に上がった。でも、その頃には諦めるという習慣が体に染みついていた。収入が変わっても、自分には無理だという感覚が消えなかった。

「収入が低かったことより、低収入だから無理だという判断を早くしすぎたことが後悔だ。試してもいないのに諦めた」と38歳のSTUVさんは言う。現在も未婚で、その感覚と向き合いながら生活している。

低収入のまま結婚して後悔していないWXYZさん(35歳)のケース

結婚当時、夫の手取りは19万円だった。周囲には反対され、自分たちも不安だった。でも話し合いを重ね、妻も正社員として働く前提で生活設計を立てた。

結婚後、ふたりで家計を管理し、夫は転職活動を続けた。3年後に夫が転職に成功し、収入が大幅に上がった。現在は子どもが一人いる。

「低収入だから結婚できないのではなく、低収入に向き合えるかどうかが問題だった。向き合う覚悟があったから続けられた」とWXYZさんは言う。収入が低かった時期の苦労は本物だったが、それを共に乗り越えた経験が関係の基盤になっていると話す。

諦めてから気持ちを変えたABCDEさん(31歳)のケース

27歳のとき、低収入を理由に結婚を諦めると決めた。でも30歳になったとき、諦めたという感覚が本当に自分の望みなのかを改めて問い直した。

そこで気づいたのは、諦めていたのは結婚への挑戦への怖さからで、収入は理由のひとつにすぎなかったということだ。失敗したくない、断られたくない、現状が変わることへの不安。それらが収入という理由に乗っかっていた。

その気づきから、少しずつ人と出会う機会を作り始めた。現在、収入は大きく変わっていないが、交際相手がいる。「諦めた理由が収入だと思っていたが、本当は怖かっただけだった。低収入は本物の障害だが、唯一の障害ではなかった」と言う。


低収入でも結婚が機能するケース・しないケースの違い

低収入でも結婚が機能しているカップルには、共通する要素がある。

ふたりの収入を合算した世帯収入として設計している。一人の収入だけで家族を養うモデルから離れて、共働きを前提にした家計設計ができているかどうかが、機能するかどうかの分岐点になる。手取り19万円が二人いれば38万円になる。その視点を持てるかどうかが、一人で考えているときと大きく変わる。

現状への向き合い方が誠実である。収入が低いことを隠さず、どう改善するかを考え続けている。転職・スキルアップ・副業。何かに向けて動いている姿勢が、相手に対して伝わっているかどうかが、関係の信頼を支える。

お金の話を一緒にできる関係がある。収入が低いことをタブーにせず、家計の現実をふたりで見ながら設計できる関係なら、低収入という状況に対して共同で対処できる。

機能しないケースに共通するのは、現実から目を背けていることだ。低収入であることを認めない、改善しようとしない、家計の話ができない。この状態で結婚しても、経済的な問題が関係を壊していく。


諦める前に一度だけ考えてほしいこと

諦めるという選択をする前に、一つだけ問いを持ってほしい。

低収入だから諦めると言うとき、その低収入は永続的なものとして見ているか、一時的なものとして見ているかだ。

20代の低収入と、30代・40代の低収入では、文脈が違う。キャリアの初期で収入が低いことと、長年変わっていない収入では、将来の見通しが違う。今の数字が将来も同じという前提で考えているなら、その前提自体を一度問い直す価値がある。

また、低収入を諦める理由にしているとき、その判断が自分を守るための言い訳になっていないかを確認してほしい。失敗したくない、断られたくない、変化が怖い。これらの感情を、収入という客観的に見える理由に乗せることで、諦めを正当化することがある。収入が本当の障害なのか、収入がそう見えているだけなのかを、正直に問うことが必要だ。

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